『「漫画の神様」手塚治虫のルーツは信州上田にあった!令和3年度増補版』発行!

この度、長野県上田市の「わがまち魅力アップ応援事業」の支援で『「漫画の神様」手塚治虫のルーツは信州上田にあった!令和3年度増補版』が完成しました。
本誌前半は、アトムの会代表の上原榮治さんが『火の鳥・乱世編』に登場する手塚治虫先生のご先祖・手塚太郎金刺光盛とその一族のルーツについて執筆されました。
上原さんは母方が手塚姓で、ご自身のルーツが手塚太郎光盛とのことで、郷土史研究を通して手塚治虫先生の顕彰活動を続けておられます。
本誌後半は、私が『アドルフに告ぐ』を軸に、「手塚治虫の少年時代」「手塚治虫の父・手塚粲」「手塚治虫と戦争」「『アドルフに告ぐ』とその時代」の四章立てで、手塚治虫の人生をドキュメンタリーとして紐解いていく、という構成になっております。
「『アドルフに告ぐ』とその時代」というタイトルには、本作品で描かれた時代(昭和11年~昭和20年)と、本作品が描かれた時代(1983年~1985年)の両方の意味があります。

発行者 上原榮治
発行所 有限会社グリーン美術出版
A4判44ページ 頒布価格無料(非売品)

冊子のPDF版はこちらよりご覧ください。

手塚治虫のルーツは上田令和3年版Web用軽量版

■送付をご希望の方は、田浦まで送料370円分の切手をお送りくださるか、同封する郵便振替用紙でご入金下さいますようお願いします。
問い合わせよりメールで送付先の住所とお名前をご連絡ください。

本誌が紹介された「東信ジャーナル」2022年4月12日発行の記事はこちら

長野県の地域日刊紙「東信ジャーナル」2022年4月12日で紹介されました。

『手塚治虫のルーツは信州上田にあった!令和3年度増補版』が、長野県の地域日刊紙「東信ジャーナル」2022年4月12日発行で紹介されました。
木曽義仲の側近で手塚治虫の先祖の手塚太郎金刺光盛について発信活動をしている「手塚太郎の会」と、上原榮治さんが代表を務める「アトムの会」両方で発刊された冊子についてPRする内容となっております。
拙稿についても以下のように紹介されています。
「大阪府の県外会員で手塚治虫さんについて著書がある田浦紀子さんの寄稿「『アドルフに告ぐ』とその時代」などを掲載。手塚治虫さんの親族からの話や「アドルフに告ぐ」に対する手塚さんの思いなどを考察した読み応えのある内容になっている。」

『大阪春秋』令和3年春号「特集・ビバ!たからづか」に寄稿しました。

『大阪春秋』令和3年春号の特集「ビバ!たからづか」に「手塚治虫と宝塚―ゆかりの地をめぐる―」のタイトルで寄稿しました。まさか表紙に自分の名前を入れてもらえると思わなかった!
「手塚家が宝塚に移り住むまで」「クスノキのある家」「歌劇の街・宝塚」「昆虫少年・手塚治虫」「手塚治虫と戦争」という5つの切り口で、叙事的に書き上げました。4ページ6千字という枠内ではありますが、長年の取材によるエピソードを凝縮して本稿に盛り込んでおります。拙稿はp.30~p.33に掲載されています。大阪市内の書店および宝塚市立文化芸術センターのショップでも取り扱っていただけるようです。お手に取っていただければ幸いです。

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新風書房 大阪春秋第182号

【開催レポート】西宮市「宮水学園」の講義を修了しました。

9月27日は、西宮市「宮水学園」の講義「手塚治虫が描いた過去、現代、未来」の最終回でした。10回連続の講義で手塚治虫について語るシルバー大学のお仕事だったのですが、何よりも私自身が手塚漫画とその背景となる知識を学ぶ機会となりました。人に何かを伝える仕事というのは、自分自身がよく理解出来ていないと出来ないことだからです。

最終講義のテーマは「手塚治虫が遺作にこめた思い『ネオ・ファウスト』『青いブリンク』」だったのですが、準備に七転八倒しました。私の中で最も好きになれない手塚作品が『ネオ・ファウスト』であり、正直、何度読んでも破滅的な救いのないこの作品は好きになれません。『ネオ・ファウスト』を取り上げるにあたって、手塚治虫がゲーテ作品に傾倒した背景を取り上げなければならず、原典のゲーテの『ファウスト』もやっぱり読むのがしんどくなる作品です。
未完となったラストシーン…精神病院に収監されているまり子を第一が置き去りににしてメフィストに手を引かれていくシーンは、ゲーテ版でマルガレーテを牢獄に置き去りにするファウストと同じ展開を辿ります。

『ネオ・ファウスト』は手塚先生のバイオテクノロジーに対する警鐘がメッセージとして込められた作品で、この後、一ノ関第一がクローン人間を作って地球が破壊されてしまう、という破滅的な展開が手塚先生の構想としてありました。
未完の作品ではありますが、手塚先生の中ではこの作品に対する結論めいたものは、最初から出ていたような気がします。

『ネオ・ファウスト』の悪魔は、『火の鳥』…永遠の生命体=「神に近いもの」と対照的なものです。生命を司るものが神であるならば、人間が生命を司ることは、悪魔の領域に踏み込むことだ、という考えがこの『ネオ・ファウスト』のテーマだったと思うのです。

そしてこのテーマは裏を返せば『ブラック・ジャック』「ときには真珠のように」のラストで本間丈太郎先生が語る「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね」という台詞に繋がるものだと思います。

『火の鳥・未来編』でも手塚先生はゲーテの詩を効果的に引用しています。荒廃した世界で生命を作りたいという猿田博士の願いが無常にも打ち砕かれる…人工人間のブライトベリィが人工羊水から出た途端、人工細胞が崩れて死んでしまうシーンで、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』の一節がが引用されています。

一方『青いブリンク』は…私の中で最も好きなアニメでありながら、最も人に伝えるのが難しい作品だと感じました。講義では冒頭と最後の10分ほどでその世界観を伝えることになったわけですが、いったい1989年のNHKアニメ放送当時、『青いブリンク』にこめられた、手塚先生の企画意図を理解できた人がどのくらいいたでしょうか?
最終回で、グロス皇帝の正体が、カケルの父親の四季春彦と同一人物であることが判明しますが「グロス皇帝は私の悪い心の表れ」という春彦の台詞でその意味を視聴者である子ども達が理解できたでしょうか?

手塚先生は遺稿の中で「青いブリンク構成」としてこのように書いています。
「グロス皇帝の正体が最終話で暴露される。グロスの仮面の下はなんと四季春彦その人自身なのだ。つまり、四季春彦はつねに自分自身と闘い、自分と対決していたのだ。グロス皇帝は自分のマイナスの部分であった。自分のアイデアを片っ端から自分の作品に組みこもうとする春彦の心と、それを抑圧する―否定するもうひとつの自分がグロスだったのだ(作家ならだれしも持っている心)
(中略)
作家の心はつねにグロス的な抑制力が―妥協が働いている。だからこそ作品は平板な、あたりまえのものになってしまう。いうなれば安易な駄作である。
春彦はそこでグロスと対決せねばならなくなる。
もうおわかりと思うが、カケルのとびこんだ夢の世界は―実は父の心の世界だったのだ。
カケルは父の心の中を旅していたのだ。
Innerspaceである。」
『手塚治虫シナリオ集成1981-1989』(立東舎)より

すなわち『青いブリンク』は自己対峙の物語であり、実は人生において闘う相手は他者ではなく常に自分自身である、ということを子供たちに伝えたかったファンタジー作品だったわけです。

最終講義を終えてエネルギー使い果たしたブリンクのように毛玉になった気分ですが、この機会は本当によかったと思います。何よりもこの仕事で、知人友人でも手塚ファンでもない一般層の聴講者に「いかにして手塚治虫を伝えるか」という勉強になりました。

『月刊広場』のご案内

『月刊広場』2019年10月号より『「アドルフに告ぐ」とその時代』のタイトルで連載させていただくことが決まりました。この企画の主軸である「アドルフに告ぐ」の製作に携わった1980年代の手塚プロ漫画部の手塚先生のアシスタントの方達のインタビュー記事を、順次掲載していきます。

『月刊広場』は、埼玉県ふじみ野市の手塚ファン・林捷二郎さんが主宰している会員制の月刊同人誌です。手塚プロのアニメーター小林準治さんや、NHKアナウンサー小野卓司さんも毎月寄稿されています。投稿同人誌特有の同好の士が集う楽しさや、純粋に自分が書いた文章やイラストが掲載される嬉しさが感じられる温かさのある雑誌です。旧手塚治虫ファンクラブの古参会員が多く集う、この雑誌への掲載という形で原稿を生かすのが、最善の方法と思いました。また、私の連載を機に『月刊広場』の会員を増やしたい、多くの人に『広場』を読んでほしいう林編集長の意向で、以下告知文をご案内いたします。


『月刊広場』とは
埼玉県ふじみ野市に在住する林捷二郎(はやししょうじろう)が、昭和45年(1970)に「誰もがいつでも何回でも、発表したいものを発表できる本格的な雑誌を発行しよう」と始めた月刊の趣味の作品の発表誌(同人誌)です。

手塚治虫ファンの方、映画の好きな方、エッセーを書きたい方、カットやイラスト、漫画など描くことの好きな人 本について語り合いたい人
などのご参加をお待ちしています。

参加されますと
・毎月『月刊広場』をお送り致します。
・『月刊広場』に何度でも作品や、お便りの発表ができます。
・お送りいただいた作品や、お便りは,到着順に発表されます。

参加してみたいと思われた方
・会費は入会金なしの1ヶ月700円ですが、3ヶ月以上の前納制(割引)になっておりますので、3か月:2000円、6か月:4000円 9ヶ月:6000円 12ヶ月:8000円 15ヶ月:10000円
のいずれかを、お選びいただき、代金をそえてお申込み下さい。

広場に興味を持たれた方に
見本誌として『月刊広場』の最新号をお送りいたします(無料)ので、お名前とご住所を、下記のアドレスまでメールでお申し込み下さい。
林捷二郎
zud00414★nifty.ne.jp
(★を@に変換して送信)

【開催レポート】西宮市「宮水学園」マスター講座

西宮市「宮水学園」マスター講座「手塚治虫が描いた現代、過去、未来」で講師を務めています。手塚治虫が作品の込めた思いや現代を生きる私たちに鳴らした警鐘などを切り口に語る、10回連続の講座です。私自身、手塚作品を改めて読み返す機会を得て、手塚漫画の素晴らしさを再認識しています。

【開催レポート】大阪あそ歩「手塚治虫を巡る・中之島編~傑作マンガのヒントを得た町~」

6月16日、大阪あそ歩のツアー「手塚治虫を巡る・中之島編~傑作マンガのヒントを得た町~」を開催しました!『陽だまりの樹』の舞台となった適塾から、ツァイスⅡ型プラネタリウムが保存されている大阪市立科学館まで、約20名の参加者と共に歩きました。いろんな方のご縁が繋がって、お天気にも恵まれ、とても充実した一日でした。街と手塚治虫の魅力を発信し続ける活動、これからも続けていきたいと思います。

 

 

6月16日(日)大阪あそ歩「手塚治虫を巡る・中之島編 ~傑作マンガのヒントを 得た町~」

「虫マップ」作者の田浦紀子さんの案内で、『陽だまりの樹』の舞台となった適塾から、少年時代に夢中になったツァイスⅡ型プラネタリウムまで、中之島界隈の手塚治虫ゆかりの地を巡ります。リニューアルオープンした大阪市立科学館では、電気科学館50周年の手塚治虫氏の講演に携わられた、元大阪市立科学館館長の加藤賢一さんからお話を伺います。
ゲストスピーカー:大阪大学適塾記念センター・松永和浩さん、大阪市立科学館・嘉数次人さん

①集合場所(地下鉄淀屋橋駅北改札口)⇒②懐徳堂の碑⇒③適塾⇒④除痘館跡・緒方ビル⇒⑤石原時計店⇒⑥⇒中之島フェスティバルタワー(朝日会館跡)⇒⑦大阪大学医学部跡⇒⑧大阪市立科学館

実施日時:6月16日(日)13:00~15:30

集合場所:大阪メトロ御堂筋線淀屋橋駅北改札口
参加費:2000円(小学生以上)※入場料込み。当日お釣のないようにお持ちください。
参加申し込み:「大阪あそ歩」のホームページhttps://www.osaka-asobo.jp/course778.html

 

西宮市「宮水学園」マスター講座 手塚治虫が描いた現代、過去、未来

手塚治虫が描いた現代、過去、未来

2019年度「宮水学園」マスター講座(前期)パンフレット(PDF:2,223KB)

1.講師
田浦 紀子氏【手塚治虫研究家、「虫マップ」主宰】

2.内容
没後30年を迎えた漫画家・手塚治虫が、代表作『鉄腕アトム』で描いた未来に、今、私たちは生きています。手塚治虫は、兵庫県宝塚市で多感な少年時代を過ごしました。自然豊かな森で昆虫採集に勤しむ一方で、都会的でモダンな雰囲気にも触れ、その経験は後の手塚漫画に大きな影響を与えました。『鉄腕アトム』に描かれた未来社会、『ブラック・ジャック』に描かれた医療の限界、『火の鳥』に描かれた死生観、『アドルフに告ぐ』や『紙の砦』に描かれた戦争体験など、作品に込められたメッセージや、手塚治虫の人物像を作品から読み解きます。

3.時間・曜日
14時~15時30分(すべて金曜日)

4.会場
西宮市民会館 中会議室501
住所:〒662-0918 兵庫県西宮市六湛寺町10-11
(阪神「西宮駅」市役所口から北へ徒歩1分 JR「西宮駅」から南西へ徒歩9分)

内容・日程の詳細は下表のとおりです。

テーマ一覧

第1回 5月10日 手塚治虫の人物像と作品群

第2回 5月17日 手塚治虫が描いた人間とロボット 「鉄腕アトム」「火の鳥」

第3回 5月24日 手塚治虫が描いた戦争(1) 「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」「ゼフィルス」

第4回 6月14日 手塚治虫の死生観 「火の鳥」

第5回 7月5日 手塚治虫の宗教観 「ブッダ」

第6回 8月2日 手塚治虫が描いた医療 「ブラック・ジャック」

第7回 8月23日 手塚治虫が描いた戦争(2) 「アドルフに告ぐ」

第8回 8月30日 手塚治虫の歴史観 「陽だまりの樹」

第9回 9月20日 手塚治虫の音楽観 「ルードウィヒ・B」「野ばらよいつ歌う」「虹のプレリュード」

第10回 9月27日 手塚治虫が遺作に込めた思い 「ネオ・ファウスト」「青いブリンク」