有馬・温泉寺の石段

登場手塚作品:『アドルフに告ぐ』(1983~1985)

『日本地理体系 7巻 近畿篇』(改造社 昭和4年)より

「二人は桑山の指示通り有馬へ向った。警察の尾行をおそれて山越えに三度もバスを乗りかえようやく有馬温泉にたどりついたのである。」

六甲山を越えて有馬温泉に辿り着いた小城とカミルは、温泉旅館・芳菊を訪ねるが本多サチの名を口にした途端、けんもほろろに追い帰されてしまう。帰りに二人が会話している場所は、奈良時代の僧侶・行基が建立したといわれる「温泉寺」に続く石段である。石段途中の石標には 「湯泉神社、薬師寺、参詣道」と書かれている。漫画に「萱之坊」の文字が書かれているが、これは当時実在した旅館で実際には漫画とは左右逆の位置にあり、現在は「ホテル花小宿」となっている。庭の植栽の枝ぶりなど、そのままの風景を今もみることができる。

『アドルフに告ぐ』第20章 右ページ上のコマは『日本地理体系 7巻 近畿篇』(改造社 昭和4年)の有馬温泉の写真をもとに描かれている。右ページ中段のコマに描かれた旅館は、実際には宝塚温泉をモデルにしている。 ©手塚プロダクション

 

ホテル花小宿

絵葉書「宝塚温泉」

『アドルフに告ぐ』第20章の有馬温泉芳菊のモデルは、宝塚温泉の旅館。