曽根崎警察署

登場手塚作品: 『どついたれ』(1979~1980) 『アドルフに告ぐ』(1983~1985)

大阪梅田・阪急前交差点の南東角にある曽根崎警察署。手塚作品には二度登場する。
『どついたれ』で主人公の哲の妹・美保が「パンパン狩り」で連れて行かれたところが曽根崎警察署という設定。
「ザキで何やられた?」と心配する兄の哲に美保はあっけらんかんと答える。「別に。DDT体中にふりかけられて調書取られただけやわ。年なんぼや言うから15と正直に答えたった。戦災孤児がどうやって食べていったらええの言うたら黙っとったわ。」
戦災孤児となった兄妹が力強く生きていくさまが描かれた作品である。

もうひとつ、『アドルフに告ぐ』にも曽根崎警察署が登場する。
第12章で、主人公の峠草平は曽根崎警察で仁川警部に尋問を受ける。秘密文書をめぐり赤羽警部と争うが、峠の無実を信じた仁川警部の計らいで仮釈放となる。「当面の落ち着き先がないのであれば」と仁川は自宅に来るよう誘う。ここで曽根崎警察の入り口が描かれ、次のページでは仁川警部と共に阪急梅田駅に向かうシーンが描かれている。

『アドルフに告ぐ』第12章 曽根崎警察署から出てくる峠草平と仁川警部 ©手塚プロダクション