『紙の砦』の鉄橋(長柄運河跡)

登場手塚作品:『紙の砦』(1974)

「中津ー 中津ーっ」
「うわーっ おりるよっ おりますよーッ」
駅員のアナウンスに慌てて満員電車から飛び降りる主人公・大寒鉄郎。
手塚治虫の自伝的漫画『紙の砦』は阪急中津駅から始まる。

昭和19(1944)年9月、旧制北野中学4年生だった手塚は、戦時中の学徒勤労動員により、中津にある大阪石綿工業大阪工場へ通うことになる。手塚の北野中学時代の体験を基にした『紙の砦』には当時のエピソードが色濃く描かれている。

『紙の砦』の冒頭シーンは川にかかる鉄橋の上を電車が「ゴーッ」と走るシーンで始まるが、その場所は実在する。
十三と中津の間を南北に流れる淀川の上には「十三大橋」がかかるが、国道176号線に続く形で東側に「十三小橋」が存在する。淀川の東側には当時「長柄運河」という小さな川が存在した。現在は埋め立てられているが、十三小橋の上から眺めると、中津駅へ向かうマルーン色の阪急電車が鉄橋の上を走り、ちょうど『紙の砦』の冒頭シーンと同じような風景を見ることができる。

Googleストリートビューで見ると、このあたりの風景が、最も酷似している。