除痘館跡

登場手塚作品:『陽だまりの樹』(1981~1987)

適塾より一筋南にある緒方ビルは、江戸末期に天然痘予防の普及活動の拠点となった除痘館があった場所だ。現在は幅広い診療科が集まったクリニックセンターだが、その4階には無料で入館可能な資料室があり、展示物から緒方洪庵の業績を知ることができる。その1階には『陽だまりの樹』のタッチで描かれた「除痘館の想像図」が公開されている。

緒方洪庵記念財団の川上潤さんはこう語る。
「今から9年ほど前、『陽だまりの樹』に描かれた待合室と診察室の二つをあわせたような構図で、緒方洪庵と手塚良庵が子供に種痘を施している様子の絵を描いてくれないかと手塚プロダクションにお願いしました。当時の医療器具や種痘の仕方など詳しい説明を求められ、少しずつ絵を描き進めていただき完成に至りました。絵の右上の扁額の字は洪庵と交流のあった漢学者・広瀬旭荘の漢詩より六文字を取り、種痘の活動によって子供たちが早死にすることがないように、という願いがこめられています。」

『陽だまりの樹』連載時から手塚プロダクション漫画部のスタッフであった野村正さんが、「除痘館の想像図」制作にあたった。

除痘館記念資料室

大阪市中央区今橋3-2-17 電話:06-6231-3257 定休日:日曜日

 

 

緒方ビルの場所の除痘館跡は、実は二代目であり、緒方洪庵が最初に種痘所を開設した場所は道修町である。美々卯本店別館の入り口には、古手町除痘館跡の碑が残る。緒方洪庵と医学書、天然痘を予防する牛痘種痘を広めるために描いた牛が病気を退治する絵図がモチーフとなっている。

古手町除痘館跡(道修町)