登場手塚作品:『アドルフに告ぐ』(1983~1985)
有馬は作中二度登場する。一度目は、少年アドルフ・カウフマンが、ドイツ留学を拒んで神戸の自宅から家出をし、徒歩で六甲山を越えてたどり着いた「日本の反対側の町」が実は「神有電車で神戸からたったの三十分の有馬温泉」だったという設定。二度目は、小城典子とアドルフ・カミルが、芸者絹子のことを調べるため、有馬温泉の旅館を訪ねる場面である。
少年アドルフが辿り着いた有馬で、父の部下のミッシェに捕まり、揉み合った末にミッシェは川へ転落。ここで描かれている橋は有馬川にかかる乙倉橋(国鉄有馬駅跡)である。乙倉橋は、昭和3年に架けられた鉄筋コンクリート製の橋で、欄干の四角い窓の形状が『アドルフに告ぐ』に描かれている。